2024年 復活祭 第97号 カトリック茨木教会発行誌
からしだね 「『四旬節~復活祭~聖霊降臨』、この期間を迎えることに神に感謝!」
清川泰司神父
2024年度も大司教からの移動の辞令が無く、高槻・茨木小教区に赴任して 9 年 目を迎えることになりました。そんな中、「四旬節」、「聖なる三日間」、「復活祭」と、 私たちの信仰を深める恵みの期間を迎えています。カトリック信者にとって、この期
間は約 2 千年前に「イエス・キリスト」の言葉と行い、そして死と復活によって完全 に示された人類救済を切に望む「神の御心」を深く想起する時でもあります。また、
その後の「復活節」、「聖霊降臨」を通して、人類救済を望む「神の御心」を生きる教 会の存在意義、また一人ひとりの信者が「洗礼」を受けた真意(神の御心)を深く理解 する時でもあるのです。
このカトリック教会の「典礼暦」はユダヤ教の伝統をもとに、キリスト教化したものです。ユダヤ教には「過越祭」という行事があり、これがカトリック教会の「復活祭」にあたります。「過越祭」とは、簡単に説明するとユダヤ人の先祖(イスラエルの 民)がエジプトの奴隷であった時、神によって奴隷から解放されたことを思い起こし、
神に感謝する祭りです。また、「過越祭」の 50 日後に行われる「五旬祭」という行事 があり、これがカトリック教会の「聖霊降臨」にあたります。この「五旬祭」は、イ
スラエルの民が奴隷から解放され神から与えられた「約束の地」までの 40 年間の苦 難の旅の途中、神から与えられた「十戒」を思い起こす祭りです。この「十戒」は、
神がイスラエルの民を真の意味で「神の民」としての尊厳を見出すための「律法」で もあるのです(申命記 8 章 2-16 参照)。
このイスラエルの民を神が導き、彼らに「律法」を授けた真意について、「聖書」に は神がイスラエルの民を「神の御心」に生きる人類模範の民にしようとしたことが記
述されています(出エジプト記 19:3-6/22:20-26 参照)。しかし、この全人類の救いを 求める「神の御心」は、多くのユダヤ人にとって自民族の救い、また、「律法」も形骸
化した「掟」と化し、狭いものに認識されるのです。そのような中、人類救済を求め る「神の御心」をより具体的に世に示す為に来たのが「イエス・キリスト」であり、 そのキリストを信じ生きるのが洗礼を受けたカトリック信者となるのです。
カトリック教会は、イエス・キリストが示した「神の御心」を反映させた典礼暦を
作り、ユダヤ教の「過越祭」を「復活祭」とし、「五旬祭」を「聖霊降臨」としました。 その典礼の中心は「イエス・キリスト」の言葉と行い、そして、十字架の死と復活に
より示された「神の御心」との交わりです。このことにより「個人の救い」、「自民族 の救い」を超える「全人類の救い」という希望を人間が持つ可能性が生まれたのです。
イエスは、人類に全人類の救いを望む「神の御心」を示す言葉(新しい律法)をたくさん残しました。その一部を紹介すると「互いに愛し合いなさい」、「赦しなさい」、「小さい者を大切にせよ」、「見返りを求めるな」、「偉くなりたい者は全ての人に仕える者
になりなさい」、「敵を愛し、自分を迫害する者の為に祈れ」、そして、イエスの言葉は、 全人類の救済を求める「神の御心」に繋がる生き方へと人間を誘うのです。
さらに、神は、イエスの十字架での死によって、人類が御自分の御心に繋がらない 致命的要因である利己的野心、情念、保身、妬み、恨み、暴力性、集団心理などの罪
深さを明らかにします。その上で、神は、イエスを復活させることにより、その罪か ら人間を解放する道を作るのです。つまり、神は、狭き救いしか求めることの出来ない人間を見捨てず御自分の壮大なる愛の御心に招くのです。そしてイエスの昇天後、
人類救済を諦めることの出来ない「神の御心」である「聖霊」を人類に送ることで、 イエスが語っていた「神の御心」の真意を悟る力を人間に与えるのです。その「聖霊」 は、世の終わりまで人類に関わるのです。教会は、その「聖霊」の降臨により誕生し
たのです。そして、教会は聖霊により導かれ、イエス・キリストが人類救済を求める 神を世に伝え、証ししたように「教会」も、「神の御心」を伝え、証しする使命がある のです。それは「洗礼」を受けた信徒一人ひとりの使命でもあるのです。この意味で、
洗礼を受けた者は神との契約から「神の御心」を深く享受する必要があるのです。そ のためにカトリック教会は典礼暦において、この「四旬節」~「復活祭」~「聖霊降 臨」を重要な期間としているのです。
今年も、「復活徹夜祭」において数名の方が洗礼を受けます。その洗礼は、この文面
で示した神との契約を結ぶ式です。また、その式において、すでに洗礼を受けた方々も、神との契約を更新し新しくされるのです。
カトリック教会は、「典礼暦」の 1 年間を通じて、信者が神との繋がりを豊かにする工夫がされています。その豊かさを享受する為にも、これからも「主日のミサ」の
参加をお勧めします。一週間は 168 時間です。その 168 時間の中の約 1 時間、自己の 私情から解放され、全人類の救済を不思議な形で実現させようとする「神の御心」を 共有する時を作ってもいいのではないでしょうか。しかし、このように言っても、身
体的、また仕事上、ミサに参加できない人もいるでしょう。その人々とも時空を超えて祈りの繋がりを持ちたいと思います。そのような中、「神の御心」を理解し、想起し、 それを人生に生かす人々が増えることを願います。その願いは神の願いと繋がるので
す。
私自身、今回書いた「神の御心」を伝えることは、どこに行っても変わりません。
2024年度も高槻・茨木小教区での司牧が続きます。これからもよろしくお願いいたします。
2024 年度 聖書講座&カトリック入門講座「説明会:オリエンテーション」開催 ・4 月20日(土曜日)13時 ・場所:カトリック高槻教会「右近会館」 ・講座実施曜日
毎週火曜日 10 時から (場所:カトリック高槻教会右近会館) YouTube 視聴と ZOOM での質疑応答に参加することが出来ます。] ・講座は約 1 年間(40 回の講義) ・参加費:無料 詳しくは、清川神父迄
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